2016年5月3日火曜日

【拙文】ゆとり世代の僕が語るドラマ「ゆとりですがなにか」3話までの感想。

日曜の夜やってるドラマ「ゆとりですがなにか」見てます。クドカンが書く会話劇が好きで、「木更津キャッツアイ」や「タイガー&ドラゴン」は何度も繰り替えし見ています。その2作品は個性的なキャラクターがメインのコメディに感じられますが、今放送している「ゆとりですがなにか」はもちろんキャラクターのユニークさで笑いを作ろうともしてはいるのですが、それよりも世代別の社会との関わり方にフォーカスしているように思います。今日はゆとり世代の僕がこのドラマを見て思っていることを、みなさんがドラマを見ている前提で書いていこうと思います。

「ゆとりですがなにか」の主人公、坂間正和(岡田将生)は1987年生まれの俗に言うゆとり第一世代。食品会社で働き勤続7年目になる。同社には仕事に不誠実な後輩、山岸ひろむ(太賀)がおり、誰もそれを注意しない。というのが1話冒頭までのあらすじなのですが、その後輩は相当なマイペース漢で営業なのに得意先回りはしない、営業先に遅れてくるなどなどいろいろやらかす役なんです。発注ミスを坂間に注意された後輩の山岸は、一度は「初めてきちんと叱ってもらえました」など心から反省したそぶりを見せるのですが、翌日にはLINEで「会社辞めまーす」と書いたきり会社に来なくなります。2話の終盤で山岸は、注意されたことをパワハラとして主人公の坂間を訴えようとします。

さらっと書いたつもりですが、後輩の山岸は相当なモンスターですよね。1993年生まれのゆとりど真ん中の世代で僕と歳も近いんですが、ここまでのモンスターは早々いないですよ。いや、おそらくいるにはいます。2000人に一人くらいは。人生で一回会うか会わないかのレベルのヤバイ奴。どのくらいヤバイ奴かっていうと、パワハラで訴えようとした会社でのうのうと働き続けようとする程なんです。結局示談になった主人公に対して「おつかれっしたー」などとにやけながら吐き捨てる。相当なつわものです。

ドラマを見ていても山岸の精神状態が理解しきれません。感情移入する用のキャラクターではないのですが、どうしてその行動を取っているのか、考えてもわからないんです。作中では「会社を訴えている自分に酔っている」と言われていますがそれにしても異常です。示談までの展開を予想していてすべて故意でやっているとすると、相当な神経の太さですよね。僕はあのキャラクターの行動は何も考えていないからできる行動なんじゃないかと思っています。あとさき考えず、その場きりの行動をしている。だから、行動が理解できないんじゃないでしょうか。

3話まで見てて本当に山岸に腹が立ちます。と同時に、すこしあるあると感じてしまうところもあります。確かにあのタイプのおかしな人は最近多いとまでは言わないですが、いますよね。極度の自己中心主義。マイペースなんて枠から相当はみ出してしまった方。しかしこんだけイライラさせる山岸を演じている太賀さんは本当に上手いですね。ドラマの中の一登場人物なんですが、太賀さん本人があんな性格なのかと錯覚してしまうほど。絶対にそんなはずないんですが、それほどまでに上手な演技。

ドラマでは主人公のゆとり第一世代であり、丁度後輩ができるような年代の苦悩が描かれています。でも、僕が思うに、その苦悩はどの世代を多かれ少なかれ経験しているようなものなんだと思います。ではなぜゆとり世代なのかを考えてみると、そのネーミングにあるんじゃないでしょうか。「ゆとり」というアホみたいな字面が若い世代をバッシングするのに便利なんです。「ゆとり」以前、以降の世代を指すキャッチーな名前はありません。最近の若い奴という言葉の言い換えでしかないんでしょう。教育方針の変更があり、授業内容が減った点は確かにありますが、それが人格に大きく影響することはありません。結局「ゆとり」って響きが使いやすいんですよね。ドラマのなかで「世代でひとくくりにするんじゃなく個人としてみてくれ」みたいな台詞があるように個人を見ていないから出てくるワードなんですよね。ゆとりって。

つらつらと書いてきましたが実は僕はゆとり世代であることに不平不満を感じたことがありません。幸運なことに一度も周りにゆとりなんて言われたことがないからです。いい人に囲まれているのかもしれませんね。でも、多分言わることがあってもピンと来ないかもしれません。ただただ「ゆとり」ってワードがアホそうだなって思うくらいで。

「ゆとりですがなにか」は他にもゆとり第一世代の個性あるキャラクターが登場し、そのキャラクターが生み出す会話劇は真面目な話をしていてもなんだかコミカルです。テンポよく進むので1話あたりの密度が濃くお勧めです。僕も次の日曜日が待ち遠しいです。

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